建築工事の着工前。
現場にはまだ重機も入っておらず、職人さんの姿もありません。
外から見れば、何も進んでいないように見えるかもしれません。
でも実際には、この時期がいちばん忙しく、いちばん気を使います。
正直に言うと、現場監督の仕事は、建物をつくり始めてからよりも、始める前の準備のほうがつらいことがあります。
今回は、新築工事が始まるまでに現場監督が何をしているのか、実際の仕事をまとめてみます。
1.図面と現地が合っているか確認する
最初に確認するのは、図面と実際の現場です。
道路の幅や敷地の高低差、隣の建物との距離、電線の位置など、図面だけでは分からないことがたくさんあります。
特に注意したいのが、工事車両や材料を運ぶトラックが現場まで入れるかどうかです。
建物がつくれる図面でも、工事がしやすい現場とは限りません。
2.工事全体の工程を組む
基礎、大工、屋根、外壁、電気、水道、内装、設備、外構。
一棟の建物を完成させるまでには、多くの職人さんが関わります。
それぞれの工事に必要な日数を考え、作業がぶつからないように工程を組んでいきます。
「この工事が終わらないと、次の職人さんが入れない」という場面も多いため、順番が重要です。
3.職人さんの予定を押さえる
工程表をつくっても、その日程で職人さんが来られなければ工事は進みません。
職人さん一人ひとりに連絡をして、予定を確認します。
一人の予定が合わなければ、その後の工程も組み直しです。
天候や別の現場の進み具合によって、予定が直前に変わることもあります。
4.必要な材料を拾い出す
図面を見ながら、工事に必要な材料と数量を確認します。
足りなければ現場が止まり、多すぎれば余った材料を置く場所や処分方法に困ります。
注文してすぐに届くものばかりではないので、納期も確認しなければなりません。
5.材料の搬入日を決める
材料は、早く入れればよいわけではありません。
現場が狭ければ、先に入れた材料が作業の邪魔になることがあります。
雨にぬらしたくない材料もあります。
必要な日に必要な量を入れられるように、職人さんの作業と搬入のタイミングを合わせます。
6.電気と水道を使えるようにする
建物をつくる工事には、電気と水が必要です。
工具を使ったり、コンクリートを施工したり、現場を清掃したりするためです。
着工日に合わせて使えるよう、仮設電気や仮設水道の手配を進めます。
7.工事車両と駐車場所を確認する
工事が始まると、職人さんの車だけでなく、材料を運ぶトラックや重機も現場に来ます。
敷地内に車を停められない場合は、近くの駐車場を探す必要があります。
路上駐車で近隣の方にご迷惑をかけないためにも、事前の確認が欠かせません。
8.近隣の方へ工事のご挨拶をする
工事中は、音や振動、車両の出入りなどが発生します。
着工前には近隣の方へ工事のお知らせを配り、工事期間や作業時間などをご説明します。
工事を予定どおり進めることと同じくらい、周辺の方への配慮も大切な仕事です。
9.安全対策を考える
現場の出入口、資材を置く場所、第三者が入れないようにする方法などを考えます。
前面道路が狭い現場や、通学路に面している現場では、より慎重な対策が必要です。
事故が起きてからでは遅いため、着工前に危険になりそうな場所を確認しておきます。
10.予定変更に備える
どれだけ準備しても、すべてが予定どおりに進むとは限りません。
雨で作業ができない。
材料の納期が遅れる。
職人さんの前の現場が終わらない。
工事では、こうした予定変更が何度も起こります。
そのたびに関係する職人さんへ連絡し、材料の搬入日を変更し、工程表を組み直します。
一日中動いても、現場には何もできていない
着工前は、電話、確認、発注、現場確認、日程調整の繰り返しです。
一日中仕事をしているのに、現場にはまだ基礎も柱もありません。
目に見えるものがないので、何も進んでいないように感じることもあります。
しかし、この準備が足りなければ、工事が始まってから現場が止まります。
材料がない。
職人さんが来ない。
工事車両が入れない。
図面と現地が合っていない。
そうした問題を少しでも減らすため、着工前に何度も確認と調整を行います。
現場監督の仕事は、着工前から始まっている
段取りがうまくできた現場ほど、何事もなかったように工事が進んでいきます。
問題が起きないことは、着工前の準備ができていた証拠なのかもしれません。
準備期間は正直つらいです。
何度も予定を組み直し、電話をかけ続けても、まだ建物は形になりません。
それでも、工事が始まり、最初の作業が予定どおりに動き出すと、ようやく少しホッとできます。
建築工事は、重機が入った日から始まるわけではありません。
まだ現場に何もないときから、すでに始まっています。
これから家を建てる方に、建物ができるまでの裏側も少し知ってもらえたらうれしいです。

